浜松名物うなぎパイ、とても有名なお菓子ですし、お土産などで食べたことがある方も多いと思います。
でも、冷静に考えるとウナギとパイって結構スゴイ組み合わせですよね。
うなぎパイを食べたことのない人にとっては、味の想像がつかないかもしれません。
そもそも、ウナギをパイにする発想はどこから生まれたのでしょうか?
ウナギをパイにするなんて、余ったウナギをどうにかする解決策だったのかな、と私は勝手に予想していましたが、全然違いました。
うなぎパイを製造、販売する春華堂のホームページに誕生秘話が書かれています。
2代目の春華堂の社長は、甘納豆や他のお菓子に加え、浜松らしいお菓子を作りたいと考えていました。
そんな中、旅先で地元を訪ねられ、浜松と答えても相手の人は浜松を知らなかったそうです。
浜名湖の近くだと補足すると、相手から「ウナギが美味しいところですよね」と言われて、浜松らしさはウナギだというヒントを得たのでした。
そして当時まだ珍しかったパルミエというフランス菓子のパイを基本に、うなぎパイを完成させていったとのことです。
珍しいフランス菓子に珍しい魚介のお菓子。
社長の発想力の素晴らしさにも驚きますが、その根底には故郷・浜松への愛情を強く感じますよね。
さて、社長の斬新なアイデアを基に、試行錯誤の末に完成したうなぎパイ。
私は子供の頃、人生初のうなぎパイを食べる機会がありました。
どんな味がするのかビクビクしながら食べた記憶がありますが、食べてみるとバターの風味と上品な甘さの美味しいパイでした。
あれ?ウナギの味がしない・・・。
まぁ、ウナギの味を知っているのかと言われれば、いわゆる鰻丼の味しか知らないのですが、ウナギが入っていないんじゃないか?と失礼ながら思ったりもしていました。
でも、それは職人さん達がウナギの生臭さを消すために、大変な努力を重ねてきた成果だったのです。
また、当初はパイをウナギの形にしてみようと試みたり、蒲焼の様に串に刺したりもしていたようです。
ただ、焼き上がり等が上手く行かず、完成した形は細長い楕円のパイですが、実際の蒲焼の様にタレが塗られています。
しかもその秘伝のタレにはガーリックが入っているそうです。
ガーリック特有の生臭さを消す工夫もまた大変な作業だったかと思いますが、この隠し味によって、深みのある味わいになっているのです。
ちなみに原材料はバター、砂糖、小麦粉にウナギのエキスとあります。
商品の袋には、うなぎの粉とありますが、これは粉末状にしたうなぎではなく、うなぎの骨から取っただし汁を粉末にしたものだそうです。
サクサクした軽いパイに、多くのアイデアや苦労、技がぎっしり詰まっているのを感じます。
なお、販売開始の昭和36年から現在に至るまで、職人さんによる手作りが続いています。
美味しく食べて、ウナギの栄養素もバッチリ頂ける素晴らしいお菓子ですね。
長年、地元からも日本中からも愛される、うなぎパイ。
バターの風味が豊かで飽きることなく楽しめます。
そんな定番のうなぎパイに加え、昭和44年にはうなぎパイナッツ入りが販売されました。
更に平成5年からはブランデーとマカダミアの風味を包み込んだ高級なうなぎパイV.S.O.Pが登場しました。
時々浜松出身の友人からこちらを頂くのですが、豪華な気分になるのでとても嬉しいです。
平成6年にはミニサイズも販売されており、お土産に便利です。
古き良き伝統を守りつつ、これからも斬新な発想で新たなうなぎパイをぜひ作って欲しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=JC9EOLiIluE