小説などで、死の前の描写に「人生が走馬灯のように浮かぶ」というのがよく使われますよね。
なんとなくイメージはできるものの、よく考えると「走馬灯って何?」という疑問が浮かびませんか?
そこで、今回は「走馬灯」についての雑学をご紹介します。
走馬灯とは
走馬灯は、影絵が回転しながら写るように細工された回り灯籠のことをいいます。
お盆などに見たことはありませんか?
今は電動で動き、絵もカラフルなセロファンを使っていますよね。
走馬灯が誕生したのは、江戸時代中期です。
もともとは、二重の枠のうち、紙を張った外側の枠をスクリーンにし、内側の枠に花や人などの絵を切り抜いた紙を貼っていました。
そのとき、馬の絵も多く用いられ、馬がいろんな場所を走っているように絵を写すものもありました。
ろうそくを中央に立てると、枠についた風車が回転して絵が動いて見える仕掛けになっています。
昔は、夏の夜に楽しむ娯楽品として人気があったようです。
「走馬灯のように」の使い方
さきほどご説明したように、走馬灯は次々にいろんな絵を浮かび上がらせます。
その様子になぞらえて、自分が生まれてからのいろんな記憶が次々に脳裏に浮かぶ様を「走馬灯のように」という表現で表すようになりました。
いくつか、例文をご紹介しましょう。
人の親となり、この歳になって、いまさら改めて『ミニモニ。じゃんけんぴょん!』を踊らされるという状況、走馬灯のように様々な思いが胸に去来しますね(幼稚園はそろそろ夏祭りの季節です)
— ちちかわえみぞう (@emi_haha) 2015, 7月 11
友人たちと肉を食べた。「肉は逃げないんだからゆっくり食べなよ」と、友人に言われたが「なに言ってんだ? 逃げるかもしれないだろ? 今だ! 肉をつかまえろ!」と、一気に肉を食べたら喉に詰まり「あ、これ窒息死するかも」走馬灯のように人生が駆け巡った — 大便モレ太郎 (@oshousuibeam) 2015, 7月 12
春の陽は 走馬灯のように 過ぎた日々を 映し出すよ 目の前に 思い出せば 君の姿を見て 僕も負けて いられないと 背を押された (夢の途中/平川地一丁目)
— 平川地一丁目bot (@hk1cbot) 2015, 7月 12
自分が誰かに失恋したときにはひたすらif youをエンドレスで聞いて泣きながら思い出を走馬灯のように思い出すのでしょう☺️☺️☺️☺️☺️☺️☺️☺️☺️☺️☺️にこっ
— 僧侶:ゆいにょん (@YjtYuuui) 2015, 6月 30
死の直前に走馬灯のように思い出がよみがえる理由
死を目前としたとき、人間の脳活動は活発になり、精神状態が高まると言われています。
そのことから、今際の際(いまわのさい)に、自分が生まれてからの人生の記憶が脳裏を駆け巡ったり、白い光が見えたりする現象が起きるようです。
さらに、それを裏付けるデータとして、1979年にアメリカの精神科医による調査結果があります。
それによると、事故の被害者の多くが走馬灯体験をしているというのです。
事故の種類別に見てみましょう。
- 水難事故38.2%
- 交通事故者21.6%
- 落下事故は12.6%
- 水中で溺れて死を意識した人 47%
このことから、酸素不足も走馬灯体験を引き起こす要因ということが立証されました。
こういった生命の危機を迎えたときに脳がフル回転し、古い記憶を次々に呼び起こす現象は、正式には「パノラマ視現象」と呼ばれるようです。
英語表現も見てみよう
走馬灯のように思い出がめぐるというのは、日本人固有の情緒的表現ではなく、科学的な事象ということがわかりました。
そこで、次は英語で「走馬灯のように」を表してみましょう。
走馬灯は「revolving lantern」という表現になります。
例文をいくつかご紹介しますね。
- 一生の出来事を走馬灯のように見る。
I see the things that happen in life like that of a revolving lantern.
- いろいろな思い出が走馬灯のように去来した
Many images came and went in my mind’s eye.
他には、flashbackという表現でも言いかえができます。
何かの機会のために、覚えておくとよいかもしれませんね。
いかがでしたか?
お盆で灯篭を見たときなどに、誰かにこの話を披露してはいかがでしょう。