親知らずを手術で抜いた人の話で、抜く前も痛いけれど、抜いてからも痛くて大変、なんて聞いたことがあると思います。
手術は怖いけれど、そのままにしておくのも不安ですよね。
親知らずが横向きに生えてしまったら、一体どうすればよいのでしょうか?
放置する危険性
親知らずが横に生えてしまう事を、水平理状智歯といいますが、これは様々な害をもたらす存在です。
この歯を放置した場合、次のようなリスクが考えられます。
虫歯になる
横に生えた親知らずと隣の歯の間には隙間ができてしまいます。
ここに食べたものが溜まりやすくなり、虫歯のできやすい環境となってしまいます。
虫歯ができてしまっても気づきにくく、かなり悪化してしまう可能性が高くなります。
歯周病になる
やはり隣の歯との隙間は磨きにくいので、歯周病菌の温床となり、歯肉炎や歯槽膿漏などになってしまう可能性があります。
歯並びに悪影響
横向きの親知らずに周囲の歯が押されて、歯並びが悪くなってしまう可能性があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
親知らずが明らかに変な風に生えていると分かったら、その時点で異常がなくても、なるべく早く歯科を受診するようにしましょう。
親知らずを抜く場合
診断の結果、親知らずを抜くことになった場合はどのようになるのでしょうか。
通院している歯科で対処できない場合は、大学病院などの口腔外科を紹介してもらい、抜歯することになります。
手術について
一般的に、親知らずが横に生えてしまっている場合は、歯茎を切開して抜歯します。
親知らずの状態にもよりますが、手術にかかる時間はだいたい30分から1時間程度、難しい手術の場合は数時間に及ぶこともあります。
手術中の痛みについては、麻酔をしますので抜歯の痛みは感じませんが、口を広げられるため顎等が痛いようです。
麻酔が切れてくると、術後の痛みが出始めますが、抗生剤とともに痛み止めが処方されますので、飲んでおけば心配いりません。
手術後2~3日は顔が腫れてしまいますが、しだいに治まっていきます。
その後異常がなければ、一週間程度で抜糸となります。
料金について
親知らずの抜歯には健康保険が適用されます。
大まかな抜歯の手術費用は5千円前後ですが、検査のCTも約5千円かかり、レントゲン検査は約3千円です。
術後の薬代や抜糸代をまでを含めると、抜歯の費用は全部でだいたい1万5千円くらいが目安となるようです。
入院を伴う場合
親知らずを一本抜く場合、ほとんどは日帰りで手術が行われます。
しかし、手術が難しいケースや、数本の親知らずを一度に抜く場合は入院を伴うことがあります。
入院期間は1泊から2泊程度が多いようですが、親知らずの状態によっては1週間程度になることもあるようです。
なお、加入している生命保険や健康保険組合から、手術・入院給付金がもらえる可能性がありますので、該当する場合は忘れずに申請しましょう。
抜歯のリスク
親知らずを抜く手術にも、やはりリスクは伴います。
可能性のある後遺症については次のとおりです。
下唇のしびれ
下顎の親知らずを抜歯する際に、下顎にある下歯槽神経を傷つけてしまうと、抜歯した歯の周辺の下唇にしびれを感じるようになります。
短期間で治まったり、ビタミン剤の投与で緩和されることもありますが、長期間観察しなくてはならない場合もあります。
開口障害
親知らずの抜歯後、口を開け締めする筋肉が炎症し、口が開けられない状態になることがあります。
1週間程度で回復していきますが、この時期に無理をしてしまうと顎関節症を発症してしまう可能性があるため、注意が必要です。
上顎洞感染
上の親知らずを抜いた場合、口の中の細菌が上顎洞へと感染し、炎症を起こす可能性があります。
上顎洞は副鼻腔と同じ場所で、細菌感染により膿が溜まる蓄膿症になったり、歯の痛みや頭痛などの症状が現れます。
抜歯には上記のようなリスクはありますが、やはり親知らずを放置する危険性も見逃すことはできません。
医師の判断に基づいて、最善の処置をとるようにしてください。