言葉は毎日毎年、今まさにこの時間にも新しく生まれて根付いていきます。
古くからのある言葉も、現代を象徴する言葉も覚える数は膨大で全てを正しく使うことは難しいです。
なかでも日本語は理解するのに難しい言語として世界でも有名です。
ですが、日本人なのだから正しい日本語を正しく使っていきたいですよね。
「宴もたけなわ」という言葉、よく聞きはすれども意味をきちんと知っていると胸を張って言えますか?
宴も酣:えんもたけなわ
宴とは、うたげとも読み今でいう飲みの席など歓送迎会などを思い浮かべていただければよいでしょう。
宴はそれこそ様々な聞く言葉ですが、たけなわはあまり耳なじみの無い言葉です。
漢字では酣と書き、見た印象ではお酒まつわる漢字なのかと想像できますね。
この字は音読みでカンと読み、一文字で「酒を飲んで楽しむ」という意味を含みます。
たけなわ、と言えば「お酒を飲んで楽しんでいる」状態をさすのかと言えば、この漢字のすごいところは、やはりこの一字だけで「物事のまっさかり」という意味も含んでいるのです。
宴もたけなわ、とは「宴もお酒を飲んで楽しみ、真っ盛りの状態ですが」とまとめてしまえる意味を持つのです。
たった一つの文字、漢字にそこまで広い意味があるというのは意外と知られていません。
使い方として、パーティや宴会の締めの挨拶として前フリに使われることが多いでしょう。
自分のために開いたパーティーを終了させるときなど、司会が音頭を取るのは当然の流れ。
「みなさん、宴もたけなわで恐縮ですが、このたびは集まっていただき有難うございました」から閉会へ進む流れを聞いたことがあるかと思います。
これは日本独特の言い回しでもあり、宴会中おのおのに楽しんでいる場面で注目を集めるための投げかけの言葉です
聞こえてきたなら、自分の話をとめて司会者や話し始めた人に注目するのが日本流の礼儀になります。
ちょっと面白い語源の話
酣は一文字で、「お酒を飲んで楽しむ」「物事のまっさかり」という意味を含むと説明しましたが、これは字の成り立ちを見ていただければそのルーツが見て取れます。
お酒に甘いと書く、たけなわの字はお酒を発酵させていたら、だんだんと甘く美味しくなってきた、真っ盛りのよい状況から成り立った字です。
転じて行事や季節などが最も盛んになった頃、盛りがきわまって、それ以降は衰えていってしまう時に使われる言葉となりました。
今でも酒蔵などお酒を作る酒造所では、お酒が発酵してきて良くなってきた状態をタケナワだということもあるのだそうです。
漢字の成り立ちも使われている言葉の成り立ちも知ってみると、些細なことではありますが、話の種として人に話すには充分の知識です。
備えていて恥になることでもないうえに、知識を備えていない方がどちらといえば恥になる言葉は多々あります。
そんな言葉があったときに調べて理解して、後々に生かしていけるのは素晴らしい向上精神だと思いますよ!